ナガミヒナゲシ

 

ナガミヒナゲシという花をご存知だろうか。

じつは、最近道路端で、オレンジ色のポピーに似た可憐な花をよく見かける。誰かが意識的に植えたものにしては、あまりに量が多い。セイヨウタンポポも日本タンポポを駆逐して、至る所に蔓延しているが、この花は、道路沿いに多いのが特長のようである。

最近私は、身近な草花の名前をあまりに知らなすぎるのに気がついて、なんとか、名前を覚えようと、牧野富太郎氏の「牧野植物大図鑑」で調べて見ても、どうしてもみつからない。ヒナゲシと似ているのだけれど、どこかちがう。

そこで、インターネットで、春の花画像を検索して、似た花をさがしたところ、それは、ナガミヒナゲシといって、最近、日本中の道路沿いに蔓延して、問題になっているとのことであった。

なぜ問題かというと、その繁殖力で、一株で15万粒もの文字通りケシ粒ほどの種を結び、それが自動車のタイヤについて、日本中に拡散したという。さらに、わるいことには、他の植物の生育を阻害する物質を生み出すという。(アレロパシー)

1961年に初めて世田谷区で発見され、今年は日本全国に広がっており、それは、昨年を大幅に上回っており、放置すると、数年で深刻な事態になるということで、すでに飯能市と新座市で、注意を呼びかかけている。

一粒の種が15万粒の実を結び、その一粒がまた15万粒の実を結ぶとは、一粒の麦に感謝することとは、全く逆の意味が込められている。ねずみ算どころのはなしでない。

それにしても、美しい花である。一般の人だったら、この花で彩られる道路に、夢を抱くではないだろうか。