今回の参議院選挙結果を考える
参議院議員選挙が終わった。民主党は政権与党としての信任を問う選挙と位置づけ、政権与党としてわずか8ヶ月で終わらせるのではなく、もっと長い目で見てほしいという選挙であったはずだ。一方、自民党は普天間基地移設の問題やバラマキ政治の民主党にはこれ以上任せられないから、どうしても民主党の過半数を阻止するという戦いであった。
そしてその結果は、民主党の惨敗に終わった。その敗因をマスコミも評論家もそろって、それは管総理大臣が消費税をかかげたため、国民の反発を買ったからだとの分析であった。
はたしてそうであろうか。ならば、消費税10パーセントをかかげた自民党が圧勝するはずはない。なぜそんな単純なステレオタイプの分析しかできないのだろうか。
たしかに、鳩山総理と小沢幹事長が退陣して管総理が誕生したときには、支持率は60パーセント台にV字回復し、そのご40パーセント台に低下したのは、消費税を掲げたからだとしているが、そうではない。消費税なんて、論点でも何でもない。いずれ消費税をアップしなければならないことは、国民はだれでも知っている。知っていないのは、共産党と社民党の支持者だけだ。しかし、消費税は自分の支払う税のアップは絶対反対という国民もいることは確かであるし、それも民意であることにはまちがいがない。
その民意を蔑視するつもりは毛頭ない。
ただし、国政全体の方向を占う選挙全体の総括として、消費税を掲げた戦術が失策であったなどと分析するのは、あまりに国民をバカにしていないだろうか。先の小泉郵政選挙と異なり、今回は民主党に政権を任せられるかどうかの判定選挙であったはずだ。
前回の衆議院選挙で民主党が圧勝したのも、マニフェストはともかく、麻生自民党に政権を任せられるかのどうかの選挙であり、一度民主党にやらせてみようという国民の意思が反映したからであったはずだ。
定年退職以来すべてのしがらみがなくなった私は、文字通りの無党派層になってしまった。最近は無党派層が選挙に多大な影響を与えるようになってきたが、その私も先の衆院選では、一度民主党にやらせてみようと本気で思ったものである。
それが今回は、どうしても民主党には任せられないと真剣に思った。それは管総理が消費税を掲げたからではない。それまで民主党支持率が20パーセント以下に低下した理由を反省する姿が全く見えず、鳩山総理と小沢幹事長が退陣したからすべて問題解決したと思っている節がある。「小沢さんにはしばらく静かにしていただきたい」とはまさにそれを表している。
問題は民主党の体質そのものにあることを少しも反省していない。これからもその体質は維持されることだろう。政治とカネの問題にしても、たかだか「国民が納得できるような説明を望む」とか「進退は本人が決めること」とか述べるのが精一杯であった。
旧自民党だったらたちまち失脚であったことだろう。田中闇将軍に対してさえ、創政会を作って反旗を翻した。今の民主党はだんまり戦術だ。だんまり戦術が罪深いのは、どんな悪法でも党内の実力者の指示で、数の論理で成立してしまうことである。
あの小沢前幹事長は。安定した政権運営できるよう、どうしても参議院でも過半数をとしきりに訴えていた。安定した政権運営とはマニフェストに記載されたことを実現するためと思いがちであるが、そうではないことは、揮発油暫定税率の廃止とか、普天間基地移設問題への対応を見ればわかるし、中国副首席の天皇陛下との会談のときの発言や、外国人参政権や夫婦別姓の問題も、政権さえとれば何をやっても許されると思っている節があるし、民主党が政権を取ると言うことは、そういうことだということをしめしている。外国人参政権や夫婦別姓の問題はマニフェストには載せていない。それを乗せると具合が悪いからである。政権を取ったら数の論理で、国会でどんなに議論しても、最終的には多数決で法案は成立してしまう。これではまるで疑似餌で釣り上げられる魚のようなものだ。しかもそれが国の利益になるものならば、だましてでも実行してもらいたいものであるが、中国や韓国の利益のためであるものなどとんでもない。
今回の選挙によって、民主党の現執行部は敗戦責任を問われ、九月の代表戦では小沢代表が大復活をとげることだろう。それが数の論理であり、小沢前幹事長の最大のねらいだろう。しかし、参議院の過半数が成立しなくてほんとうによかった。これで民主主義は少し踏みとどまった。
それを確保したのは、われら無党派層である。政権はやはり2大政党が望ましく、絶対安定多数政権は、独裁政治と紙一重である。それを選択するのは我ら無党派層である。
無党派層万歳