自給自足生活の開始
長年の夢がかないこの7月から自給自足農園「ゆめぞの」の専業生活を開始した。7月上旬は雨が多かったものの、そのうちに猛烈な暑い日が続いた。
いままでサラリーマン生活で昼間は冷房の事務室で、むしろ体は冷え切ってしまい汗をかくというのを忘れていたが、連日の農園生活では、あまりの汗で着ているものがずぶぬれになってしまい、タオルや着替えでは対処しきれない。
農作業といっても草むしり程度の計作業なのにこのありさまである。近所の農家のおっさんやおばさんは汗をぬぐいつつも、一日中農作業を継続しているが、わたしの作業時間は30分と続かない。ズボンまで重くなるほどずぶぬれになり、そのうえあまりの苦しさに唸り声を上げつつ、早々に作業を切り上げ、冷えたビールをぐいぐい飲むというありさまである。長年のサラリーマン生活で、終日屋外作業に従事することができない人間になってしまったようだ。このような怠惰な人間を時間をかけて改造する必要がある。少なくとも昼間時間帯に屋外生活できるようになることである。
サラリーマン生活に自分の意志によって終止符を打って自適の生活に入った場合、時間を持て余してしまって退職したことを痛く後悔するのではないかと心配した。
退職前に、73歳になるある先輩から、最近やっと罪悪感がなくウイークデイに家にいられるようになったと、聞いたことがあった。長年のサラリーマン生活に慣らされると、無職というのに耐えられないのではないかと心配だった。
退職して余裕ができたらしようと思っていたアルバムの整理や家の周囲の手入れなどは、1週間もあればやり尽くしてしまい、あとはひたすら家人のやっかいものとなるというのが、退職経験者のはなしであった。
私の場合は、幸いにも自給自足農園というのがあったため、退職以来1日中家にいたのはまだ1日しかない。たいくつな時間をもてあますどころか、暑さと雑草との戦いにほとんど負けそうな毎日である。59歳にしてこんなありさまなのだから、62歳の定年まで働き、それ以降農業でもやって暮らそうかというのは、体力的に無理があるように思う。
その点、今回思い切って退職してこの道を選択したことは正解だったと思っている。
毎日野菜の面倒を見ることができればさぞかし、よい野菜ができるとのではと愉しみにしていたが、実際は、雑草にも負け、トマトは病気でほぼ全滅、できた野菜もいまいちおいしくない。
有機、有機といってもおいしくなければ意味がない。おいしくない原因はまだはっきり把握していないが、今年で4年目の農園であるが、年々少しずつ味は向上しているように思う。いろいろ工夫して、ゆくゆくは「ゆめぞの」ブランドのおいしい野菜をつくるのを目指したい。