ロシアの特別軍事作戦
2022年2月24日、ロシアは、ウクライナに軍事侵攻したが、それを、戦争ではなく、ウクライナ東部のドンバス地方のドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の要請を受けて、ロシア系住民をナチズム勢力から守ることと、ウクライナのNATO同盟加盟を阻止し、非軍事化を目指す特別軍事作戦に踏み切ったと宣言した。
ところが、蓋を開けてみると、それは戦争そのものの様相を呈していた。
そもそも、ロシアはドネツク、ルガンスク両人民共和国を国家として認め、その両国の要請に基づいて、その保護のための軍事侵攻のはずが、保護どころか破壊の限りを尽くしている。同地区に居住するロシア系住民は、どう受け止めているのだろうか。それとも、ロシア系住民以外の設備を区別して攻撃しているのだろうか。映像で見る限り、すべてを破壊し尽くしている様子で、戦争が終わっても当分の間、人間が住めるような状態ではない。
最近、両地区はロシアが完全制圧したとの報道があった。だからといって、両地区に今後平和が訪れるはずもない。ウクライナという国が存在する限りは、いつの日か奪還をねらうだろう。一時的に、停戦合意という道もあるが、過去に、「ミンスク合意」が締結されたが、全く守られることがなく、今回の軍事作戦につながったことからも、全く効果は期待できない。この状態は永遠に続くかもしれないのだ。
このたびのロシアの言い分は、隣国のロシア系住民の保護を目的に掲げているが、そんな言い分が国際的に通用するはずはないのは十分分かっているはずであるが、そんな言い分が通用してしまう実例ができてしまえば、先の大戦の最終形態を決めたとされるヤルタ会談での、日本の北海道の半分をロシアのものとするとの密約を根拠に、北海道へ侵攻するする可能性さえある。北方4島の占領と全く同じで、住民保護などという曖昧な根拠ではなく、当然の権利と主張するであろう。
それを阻止したのは、原爆を実戦で使用したアメリカが強硬に反対したからだが、今回のバイデン政権では、単に批難し、武器の援助と経済制裁を行ったにすぎない。
また、もしそんな事態が生じた場合に、国を守るために断固戦うという日本人は、世論調査によると11%しかいないという。世界のほとんどは4割を超えるというのにである。
平和呆けの日本というしかない。
南では中国が尖閣諸島は中国固有の領土だとして、毎日パトロールを怠らない。
ロシア、中国が供応して特別軍事作戦を開始したら、日本はどうするのだろうか。
事前抑止力をアメリカに期待できないことは判明した。しからば、対応力を身につけるしかない。
今回の事態に対して、直ちに対応したドイツが、国防費をGDP比2%にアップを決断したことが参考にはなる。
ドイツは軍事攻撃を受ける恐れはないものの、NATOの主要メンバーであるという矜持からの判断であろう。