鏡の画像は何故左右逆か
私が大学一年生のとき、一般教養課程の「物理学」の講義の時間中、講義していたのは、戦争中「零戦」の設計にも従事していたと言われる、大和田教授が、講義中の雑談として、鏡に写る画像は、左右が逆に見えるのに、何故、上下は逆に移らないかという問題は、なかなか解決できない難しい問題だ、と言ったのを今でも鮮明に覚えている。
なぜならば、それ以来、その疑問を折に触れ考えてみるものの、未だ解決できていないからである。
車を運転するときに、バックミラーに映る後続車のウインカーは、右に点滅していれば、右に進路変更して行くのに、何故、左右が逆にならないのか、考えると混乱してしまう。
そんな折りに、昨日のNHKの「チコちゃんに叱られる」という番組で、取り上げていたので、待っていましたとばかりに見入ってしまった。
ところが、答えは、「それは分からないということが、分かっている」ということだった。
分からないという説明に、やはり、車のバックミラーの話を出だしていた。
だけど、それらの説明を聞いているうちに、私なりに解決を見つけることができた。
それを以下に記してみたい。
まず、鏡が南向きに置いてあるとして、その前に立つと、北向きに立っている。
すると、右手方向が東である。
ところが、画像は、当然ながら、南向きであり、
南向きの人間の東は左である。
したがって、人間と画像は左右が逆になることになる。
その原因は、一に奥行き方向が、物体と、画像が逆になることが原因である。
それを疑問に思う人はいないだろう。自分の背中は画像では奥行き方向であることを、誰もが納得出来るはずである。
したがって、車のバックミラーに映る画像の背中方向は、自己の背中方向と同一であるため、左右が逆にならないことが、理解できる。
これで、やっと、長年の疑問が氷解したので、あえて、ここに記した次第である。
だけど、なぜ、上下が逆にならないかを未だ記していなかったのに気がついた。
それは、人間は左右が対称であるため、わざわざ、右、左と名前を付けなければ、個体識別できないからであろう。
たとえば、左右非対称で、上下に対称の物体、人間が横臥したことを想像すれば良い。
左を下に横臥していると、画像の下方向は右であるから、上下も逆になっていることが分かる。
以上