超円高どうする

 

 円高もとうとう1ドル75円があたりまえになってしまった。政府が断固介入するというメッセイジをどんなに発しようが、市場はほとんど反応しない。政府の本気度をうたがっているのであろう。それはそうであろう。断固というわりには7兆円という小規模であったのに加え、あとどんなに実行しようにも、政府日銀にはその枠があと23兆円しか残っていない。それに加え、政府の市場介入というのは、中国のように、国が為替操縦するのかとの不信感がぬぐえない。

 2008年のリーマンショック以来、欧米各国は、自国のカネの他国との交換比率を下げて輸出を増やしたり、在外資産収益をかさ上げするために「通貨安戦争」が常態化している。

 米ドルについて見ると2008年以来ドル発行残高は3倍にもなっているのに、一方円はわずか2割増しにとどまっている。これでは円高政策を実行しているととられてもしかたない。

 財務省、日銀はただただ国債金利の上昇がこわいのだろう。たしかに、金利が上昇すれば、1000兆円を超える国の借金、国債は国の財政破綻を招きかねない。国の借金残高は対GDP比で、ギリシャは160パーセント、そしてこのたび危機が伝えられているイタリアは130パーセント、それに対し、日本は220パーセントと、日本も人ごとではなく、財政健全化が求められるところではある。

 しかし、それが原因で国の経済活動が停滞してしまったらなんにもならない。経済がグローバル化した現代において、日本だけがいい子でいたいと思っても、そのアンバランスをついて世界のマネーが動くから、今回のような異常な円高を招くことになる。

 安住財務大臣の「断固たる措置」とか白川日銀総裁の「注意深く見守る」という発言は市場にほとんど影響を及ぼさない。やはりやるならば、諸外国と同じように、円のお札を大量に印刷して、長期国債を購入するという正真正銘の量的緩和策をおしすすめるしか方法はない。そんなことをしたらインフレを招くと指摘する向きもあろうが、出口の見えないデフレを改善する効果こそ求められるのではないだろうか。そして当然為替レートも円安に振れるはずである。

リーマンショック以来通貨発行残高がわずか2割増しというのは、あまりに国際情勢を無視した独りよがりに思えてしかたない。白川総裁の「注意深く見守る」という発言をテレビなどで耳にするたびに、イライラ感が募るのは私だけではあるまい。

                以上