野田新政権に期待する

 

 このたびの民主党代表選で、小沢、鳩山両氏の推す海江田氏を、決選投票で破り野田新代表が選出された。野田新内閣も世論調査で70パーセントの支持を獲得した。民主党が初めて政権をとったときの鳩山内閣の支持率には及ばないものの、前菅内閣を大きく上回っている。

 高支持率は全く結構なことながら、挙党態勢を意識しすぎたせいか、小沢、鳩山グループにも配慮した人事のせいか、素人ばかり登場で、本当に政策運営が可能かといぶかる声もある。防衛大臣は、私は防衛に関しては素人だから、これこそシビリアンコントロールだと発言して、物議をかもした。

 前時代的には、誰が大臣になろうとも、官僚がしっかりしているから大丈夫といわれたこともあるが、脱官僚、政治主導を標榜する民主党がこれでは、ちょっと本音すぎないか。小沢氏がかつて言っていたように、民主党にはまだ政権運用能力がない、というのがほんとうのところではないだろうか。

 しかし、国民は一度は民主党にやらせてみようと、二年前に当時の自民党にいやけがさして、しかたなく民主党を選択した。新政権に、そんなに単純に早くからうまくいくとは期待してはいなかったが、思い出してみても、やることなすことすべてうまくいかないどころか、逆方向に混乱させたただけのような印象が残る。

 普天間基地移設問題、尖閣列島、竹島、北方領土といった外交問題、東北震災対応、原発事故対応はもちろん、4Kのばらまきのほか、温室効果ガス25パーセント削減、脱原発、ストレステスト、TPPのように、なかには評価する人も多いものについても、単なる思いつき人気取り発言の域を出ない。鳩山首相就任時の、普天間基地は最低でも県外移設とか、日米中国の正三角形の東アジア共同体構想とは何だったのだろうか。鳩山少年の夢物語に振り回されただけだった。民主党内で他の誰がともに推進しただろうか。政治主導といいながら、党内でも官僚からも無視され、しまいには宇宙人、ルーピーと揶揄されながらも、本人は議員辞職発言を撤回して、小沢氏と連携して権力にしがみつこうと躍起になっている。

 こんな危機的時期に総理大臣となった野田氏に大きな期待を寄せた結果が、高支持率に現れている。しかし、所詮来年9月には代表戦が行われるので、そのときに果たして、小沢、鳩山連合に勝てるかどうかが、真に日本の将来がかかっているような気がする。

 今回の代表戦でも海江田氏がもう少し、肝が据わっていたら危なかった。涙を流すなどはどうでも良いとしても、演説の原稿を小沢グループが作成し、それを彼らの前で何度も練習させられたと聞く。そんな演説では絶対に人を動かすことができない。最後は野田氏のドジョウ演説に完敗した。

 しかし、小沢、鳩山グループがなければ民主党は単なる、一野党に成り下がることは目に見えている。まだ金権政治が半分残っているという実感がある。

 政治と金の問題を切り離すために、政治資金規正法を作った張本人は小沢氏である。そしてその政治資金規正法違反で裁判が行われているのがその小沢氏である。小沢氏としては政治資金規正法を作ったときから、どうすれば法に抵触せずに済むかは、十分検討済みであったから、どんな裁判になろうとも法的には裁けないことを熟知しているはずである。自由党解党の折りには、10億円以上が金庫から小沢事務所に移転したことを、藤井裕久氏が証言していた。企業献金でもなく国民の税金からの資金である。4億円なんてもんではない。

 政治と金の問題が残っても仕方ないとしても、政治だけはきちっとやってもらえるならまだよい。ところが国を売るようなことを、自己の権力のためにやられたらたまったものではない。中国へ子飼いの議員を百何十人引き連れて、主席の前にひれ伏して、「人民解放軍の一地方司令官のつもりでがんばる」とは妄言もここに極まるというか、日本国の恥を世界にさらした。わたしはこのニュースに身を揉むような恥を感じた者だ。

 そんな小沢先生を慕ってやまないのはヤワラちゃんこと、谷 良子氏である。週刊誌に寄れば、参議院議員選挙前に小沢氏からくどかれ、その日のうちに一億円がふりこまれたそうである。ほかの議員も似たり寄ったりであろう。これでは何を言ってもむだという無力感がわいてくる。

 まあ、来年9月の代表戦までに選挙がなければ、親小沢の輿石幹事長も、公認や、金の配分で、親小沢路線をそれほど行使できないだろうから、野田代表の再任もあり得る。

 輿石氏は日教組のドンと呼ばれたひとであるから、本来自由党小沢氏とは思想的に相反するはずが、これほど親密になるには、それなりの別の理由があろうというものだ。それほどのタヌキならば、この一年十分タヌキぶりを発揮して、何とか来年小沢氏排除を実現してほしいものだ。

 そもそも、民主党に小沢氏を迎え入れたとき、「モーニング娘に天童よしみが加わったようなもの」と評したのは、当の野田氏である。

 モーニング娘集団に政治を任すのも心許ないが、ドジョウ政治ならばこれまでのような逆向きの政治ではなく、目の前の課題に真剣に向き合って、国民、官僚の意見にしっかり耳を傾けて、政権運営にあたってもらいたいものだ。