グレートジャーニー

 2月12日の新聞にグレートジャーニーを達成した関野吉晴さん(53)が紹介されていた。南米のチリのナバリーノ島からアフリカのタンザニア,ラエトリまで5万3千キロにも及ぶ距離を,昔ながらの徒歩,カヤック,自転車で旅を続け8年余りをかけてゴールインしたという。

 人類の起源はアフリカといわれ,長い年月をかけ南米まで達したのを,逆にたどったのだという。

 その旅を通じて感じたことが紹介されていた。それは,人間が競争し合うのではなく,分かち合い,助け合うものだということだった。先住民の社会で最低の人間はケチ,つまりモノを貯めこんでいる人だという。

 エチオピア,オモ川の少数民族コエグの社会では,妻をもらう際に,必要な家畜やモノは,最終的にすべてもたない人に行き渡る仕組みになっているという。

 逆にいうとこんな時代に生き抜いている少数民族は,分かち合う文化があったから生き残ったと見ることもできる。

 しかし,人類社会はいま,グローバリズムの正義により,強い人が競争に勝ち,生き残る文化が蔓延している。マクロで見ると,滅亡する民族ではないだろうか。

 弱肉強食の世界が自然界でも機能してもっともバランスがとれた発展するという価値観を信奉しているが,必要以上に貯めこむのは人間だけである。先住民民族では最も軽蔑される人間が現代では最も幅をきかせている。これは人類がゆくゆくは滅亡することをも意味すると見るのが妥当であろう。