ご挨拶

 

 この度、ホームページ「自給自足農園ゆめぞの から」を開設することとしました。ここでは長年私自身があたためてきた自給自足を価値観の原点においた生活を実行に移そうというものです。

 20世紀から21世紀に変わろうとしている今こそ、地球規模の価値観の変換が求められているように思います。すなわち、人類は戦争の世紀を越えてひたすら豊かさを求めてきました。戦後50年、経済発展はめざましいものがありました。その反面、爆発的な一次エネルギーの消費と環境破壊は地球規模の危機感を訴え続けています。しかし、時代は経済グローバリズムを錦の御旗にますますの経済成長を求め続けています。たとえば、中国の12億人の民が日本と同程度のエネルギー消費の時代が来ることを想定すると、身の毛がよだつ思いがします。 また、経済グローバリズムは公正な競争を価値観の根本に据えていますが、競争とは所詮相手を打ち負かすことであり、商工ローン事件に見られるように、人間性無視の会社が生き残って行くことになるのは明々白々です。

 このような社会の矛盾は大多数の人が認識しているにも関わらず、どうしようもないのが実状のようです。自分の勤務する会社が利潤を出せなければ、存続できない、すなわち失業、そして生きて行くことさえできなくなる、という強迫観念から、国内で売れなければ、輸出を増やして生き残りを図ろうとする。ところが、外国からはカネ持ち日本は輸出を減らして輸入を増やすよう求められている。 なんという矛盾だろうか。その原因はすべておカネにある。本来便利なものとして導入したおカネは、現在ではありすぎて困っているのに、生き残りのためにはもっともっと稼がなければならない、という矛盾を起こしているばかりか、その投機的マネーにより一国の経済が破綻するという現象まで引き起こしている。

 悪名高いヘッジファンド、クオンタムファンドのジョージソロス氏は、「貨幣に道徳を求めることはできない」と、市場経済原理主義を貫く限り、カネというものは一人歩きしてしまう危険性を指摘している。

 21世紀を迎えるに当たり、経済成長の恩恵を最大限に享受した世代の一人として、このような風潮に責任を感じないわけには行きません。この風潮を見直すためには、是非とも経済最優先の価値観を変える必要があると思います。

 すなわち、働くのはおカネのためばかりではなく、ましてや生きるのはおカネを目的とするものではない。このことを身を持って感じるためには、自給自足の生活が最も適しているようです。むろん、生活に必要なものすべてが自給自足できるものではありませんが、できるだけそうすることによって、感謝の気持ちが生まれてきます。現代社会ではおカネさえあれば欲しいモノが何でも手に入ると錯覚しているようですが、それを作ってくれた人に感謝の気持ちがなければ、本当の心の満足は得られないような気がします。そのことは結局社会への感謝、自然への感謝さらには神への感謝へとつながって行くように思います。貨幣も当初はこの感謝の気持ちを代替するものであったはずです。その一番大切な部分があまりになおざりになってしまっているので、なんとかこの辺でルネッサンスを果たしたいものです。

 最近、田舎生活を求める方も増えてきているようですが、自然と親しむという目的もさることながら、労働をおカネで切り売りしないという価値観をみなさん大切にしていらっしゃるようです。特に、TBS記者で宇宙飛行を体験された秋山豊寛氏の「宇宙と大地」、「定年後は夫婦で田舎生活を愉しみなさい」という本を著し、ご自身でも農的生活倶楽部を主宰されている星野晃一氏には共鳴するところ大です。

 そんなわけで私も1反歩ほどの畑地を借り入れて自給自足の考え方を極力取り入れた農業を始めたところです。今のところ週末農業ですが、いずれ定年を迎えたらこれを人生の糧としてやって行くつもりでいます。リストラの風が吹きまく昨今56才の私が再就職すると、先方企業に迷惑も少なからずかかることを考えますと極力早期に農的生活に入った方が、社会のためとも考えています。

 だからといって世を捨てたのではなく、自給自足を通して感じたことはどんどんこのホームページで発信して、同好の士はもとより、市場経済原理主義者にも読んでいただき、21世紀にこの国の進む方向を論じ合い、世界人類の平和を考えて行きたいと考えています。

 以上のような訳で私の小さな農園を21世紀に向けて新しい価値観を求めて夢の扉を開くホームページにしたいという願いを込めてゆめぞのと名づけました。 今後ともよろしくお願い申しあげます。