羽田空港航空機衝突事件を考える

新年早々航空機同士が衝突炎上という痛ましい事故が発生した。

報道によると、滑走路ではなく、誘導路上の停止位置(hold pointC5まで地上走行(taxi)との管制塔からの指示に対し、復唱確認の上、進行して、停止位置に止まることなく滑走路に進入してしまい、着陸してきた日航機に衝突してしまったとのこと。

確かに、誤って進入してしまった海上保安庁の飛行機の責任は重いが、管制官はそれを何故許してしまったのであろうか。管制官というものは、指示通りに運航することを監視する事が本務であるはず。それが、モニター画面に、滑走路が異常状態であることを示す黄色の表示に変わり点滅し、当該機は赤色で注意を促す安全監視装置が正常動作していたことも判明している。そのモニターは常時監視する義務はないとはいえ、動作を確認しながら管制を行うことは基本中の基本であるはず。昨日の報道では、再発防止の観点から、常時監視者を配置するものの人員は現状のままとのこと。当たり前である。今後は単に見落とさないようにするということにすぎない。

なぜ見落としたかについては、まさか、指示に従わずに滑走路に入ってしまう事などあるはずがないとの思い込みから、監視の必要性を感じていないためだろう。当たり前のことを当たり前に行うことが管制の役割のはず。そもそも当たり前の行動をなぜ海上保安庁機は誤ってしまったのだろうか。機長は管制から滑走路進入の許可を得ていたし、それは他のクルーも確認していると主張している。停止位置(hold point)に向かう、一番目(number one)ありがとうと復唱確認している。この言葉には滑走路に入る行動につながる要素は、一番目(number one)ありがとうしかない。それ故か、今日の報道では、今後は離陸順番を表す指示は禁止するとのこと。

しかし、考えてみれば、航空管制用語は英語であること、だから日常言葉ではなく、その業界特有の表現を用い、繰り返し体験することで定着をはかり、技能獲得につながってきたはずである。ベテラン機長が離陸順番一番目を滑走路進入許可と解釈することは考えられない。滑走路進入待機は Line up and waitという正式用語が存在するからだ。

したがって、機長が進入許可があったと証言している限りは、Line up and waitと復唱確認したうえで、滑走路に進入していたことを意味する。そんなことは回収したボイスレコーダーを解析すれば、明らかになることだ。ところが、そのボイスレコーダーは、内容を確認することなく、事故後直ちにアメリカに解析依頼するために渡されてしまった。理解に苦しむ。せめて、コピーだけでも摂ってあることを期待するが、無理だろう。

また、滑走路進入の際、右方向から今まさに着陸しようとする日航機の照明(landing light)がまぶしいほどに見えていたはずである。にもかかわらずその40秒後に衝突してしまうとは、、、。

そして、機長だけが重傷とはいえ脱出できたのに、他のクルー5人は死亡というのも不思議でならない。

再発防止のためには、航空管制官の日常業務の再確認は当然として、そのほか、異常表示だけではなく警報音とか、滑走路異常侵入防止灯(設置済みであるが、故障中だったとのこと)の運用が求められる。