選挙結果雑感

 

今回の総選挙は与党圧勝で終わった。

野党やメディアの、モリ、カケ疑惑をはじめ、数におごった安倍一強政治を許さないとの一大キャンペーンにも関わらずにである。

先の細川政権誕生や民主党政権も、メディアの世論操作の成果であったことは、疑いの余地もない。

一般民衆は新聞に書いてあることを正しいと認識する習性が身についてしまっている。今回の選挙にあたっても、もっぱら、モリ、カケ疑惑を報じていた。そんな疑惑をもたらす政権を許さないという風潮であった。

しかし、よくよく考えてみるに、選挙の争点にするような問題だろうか。贈収賄などの違法行為があったわけでもなく、単に安倍首相や昭恵夫人の意向を忖度したにすぎず、昭恵夫人の100万円寄付にしても、収賄したのではなく、寄付行為であった。

財務省が、森友学園の幼稚を格安で払い下げたことは、国に損害を与えたというが、隣接の土地も、公園用地として15億円相当の土地を、0円で、また、学校給食センター用地として、15億円相当の土地を、1400万円で払い下げている。森友学園は15億円相当の用地を15000万円で払い下げている。これら3つの案件に、問題だと取り上げられたのは、森友学園だけであった。

確かに、子供達に教育勅語を暗唱させたり、首相夫人から100万円の寄付があったとか、話題性には富むが、いずれも週刊誌ネタであり、そもそも国会で論じるような性格のものではない。質問程度ならともかく、会期中その問題だけを議論するようなはなしではない。

財務省も、ゴミが埋まっていて人気のない土地の有効活用するために、格安で公的な機関に払い下げすることは、行政の判断として賢明でさえあったと思っている。

このように全体像を報道されておれば、国民の判断も妥当なものになろうが、公園用地と給食センター用地の格安払い下げは隠蔽して、森友学園だけを報道されれば、一般国民は首相や夫人の意向を忖度して国有地を格安で払い下げして国に損害を与えるなど、もってのほかとなるのは当然であろう。

このように、本来なら日本人特有の美徳ともいわれる忖度という言葉が、いまや、マイナスイメージで用いられるようになってしまった。これもメディアの責任であろう。

さらに朝日新聞では、今回の選挙に当たって、世論調査の中で、モリ、カケ疑惑を重視するかどうかの問いに、「する」との答えが41パーセントにも登ったと見出し付きで報じたが、49パーセントが「しない」であったことは無視している。これは意図的確信犯であろう。

またさかのぼれば、慰安婦問題も国家賠償責任がすべて解決済みであるなかで、たまたま、吉田清治という日本人が、韓国女性拉致して慰安婦にしたという体験をでっち上げて本にしたことに目をつけて、慰安婦問題だけは別というところを大々的に報じたのがきっかけであった。時代の寵児になった朝日の植村記者の義母は韓国の慰安婦問題糾弾の急先鋒の挺対協幹部である。

正義感に駆られての報道ということになっているが、意図的に日本をおとしめる題材を探し求めていることが覗われる。

そしてそれらの報道に接した良心的な国民のなかには、そんなひどい話は知らなかった。断じて許されることはないと、信じ込んでしまう。

確かに朝鮮人の慰安婦は存在したが、ほとんどは日本人だったのだ。その数は20万人にも及ぶというが、その数は、朝鮮人のその年代の1/3にも及ぶ。まして、トラックで乗り付けて銃剣で脅して連れ去ったことになっている。しかし、現地でそれを目撃した人は誰もいないのである。当たり前である、そんなことが目の前でおこったら、それこそ、暴動がおきるであろう。

そんな話が、虚報であったと明らかになった現在でも、慰安婦問題は下火になるどころか、ますます強く、世界にも広がりつつある。すべてメディアの責任である。

昨年の除夜の鐘を最初につく国家的行事に、選ばれたのは、元慰安婦であった。元慰安婦は今や国家的英雄といった存在にさえなっている。日本をおとしめることに貢献した、最大の功労者といったところであろう。売春婦が国家的英雄として評価されるなど世界に例がない。

それは、すべて韓国というよりは、日本の報道がつくりだしたものである。

首相が、靖国神社を参拝したと、報じるのはメディアであり、その報道の最後に、「近隣諸国の反発が予想される」という一言を付け加えることを忘れない。それは中曽根首相の参拝の際から常態化している。

このような変更した報道にさらされながら、与党が圧勝したことは驚きであった。

その要因の一つに私が注目したある調査結果だった。それは自民党支持層を調査したところ、20〜30代は61パーセントであったのに対し、60代以上は41パーセントだったというニュースである。昔だったら、逆に若い世代が政権政党を批判するのが当たり前だった。あの保守の論客、西部 暹氏が「若い時代に左翼にかぶれないのはバカだ、だけど、大人になってもかぶれたままなのは、もっとバカだ」という言葉によく表れている。

それは、大人になって安定を望む心情から、当たり前の心境変化であろう。ところが、今や、若い世代が安定を望んでいることが判明した。その安定の判断が問題なのだが、年寄り世代は、何と言っても戦争に懲りている、それは、政権の言うがままになっていると、また戦争に巻き込まれるという恐怖観念に駆られている。安全保障の問題を口にしようものなら、直ちに「軍靴の響きが聞こえる」として、論じることさえ恐怖になっている。

そして、モリ、カケ疑惑を、断じて許されないと、政治を道徳観で裁こうとする。

議員の不倫などもってのほかと、政治で何をなすかよりは、道徳的に清廉潔白であることを政治家に求める傾向が強くなっている。

この傾向は、日本にのみ存在する振り込め詐欺の判断に共通するところがある。

倅か孫が金銭的に危機に陥っていると聞き、ただただ助けてやりたいと心情が優先してしまう。本来なら自己責任だとして突っぱねるのが筋であろう。百歩譲って、手をさしのべるにしても、呼びつけて、事情をよく聞き、二度とそんな不祥事を起こさないようよくよく言い聞かせた上で、手をさしのべてやるべきであろう。

そんな深い事情は一切無視して、単に表面的なことだけで、多額の金銭を出してしまうことが、最大の問題点であろう。それは、表面的な安倍政権打倒のスローガンだけで、反対投票することと良く似ている。

だからといって、安倍政権打倒のスローガンが間違っているわけではない。それは、倅や孫の窮地を救ってやろうというすばらしい心情の表れであることと同じである。

そのすべての結果が選挙結果に表れている。日本国民はまだまだ健全であることがわかりほっとしている。